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刀の取扱い方

抜く納める

鞘から抜く

[1]刃方(はかた)を上にして、白鞘(しろさや)の柄を右手(利き手)に、左手(受け手)を鞘に持ちます。

[2]鞘を動かさず、右手であまり力まず引きます。または、柄を握ったまま、親指の腹で鞘側の縁を押し出す方もいます。

[3]合口(あいくち・合せ目)が開いたら、そのまま刀身をゆっくりと引き出します。

中心を開ける

※中心(なかご・茎)を柄から開ける際は必ず所有者の許可を得てください。

[1]柄にある目釘孔(めくぎあな)の大きい孔の側から、目釘を目釘抜きで押し出します。

[2]左手で、刃を右にして柄を持ち、軽く前方に傾けます。そして右手で軽く握りこぶしを作り、柄を握っている左手の上(親指の甲あたり)をトンと叩きます。(※カチャっと脱れない時は、少し強めにトントンと叩きます。全く脱れる気配がない場合には、中心抜き専用の用具を使用します。)

[3]右手で鎺(はばき)を押さえながら、左手で柄を引き出し、柄を脱します。

[4]脱した柄を邪魔にならない傍に置き、目釘を小さい方の孔に差込んでおきます。(※これは目釘を紛失しないようにするためで、鎺を脱した時も同様に邪魔にならない傍に置いておきます。)

中心を柄に戻す

[1]鎺を押さえながら中心を持ち、柄の差込口を中心に差し入れます。

[2]左手で柄をしっかりと持ち、柄の頭(下側)を軽くトンと叩き中心を柄に装着します。

[3]目釘孔(大きい孔の側)に目釘を細い方から差込み、軽く押さえます。(※途中までしか入らない場合は、中心がしっかりと差込まれていないか、目釘自体が変形していることが考えられます。)

刀身を鞘に納める

[1]鞘を刃方の側を上にして縁の近くを持ちます。

[2]刀身は刃を上にして、切先(きっさき・刀身の先端部)の背(棟)を鞘の小口(穴)に載せるような感じで少し入れ込み、そのまま自然な感じで納めていきます。

[3]最後は軽く押し込んで納めます。ただし、隙間があるからと無理に強く押し込んではいけません。(※新しい白鞘の場合、隙間が開いていることがよくありますが、その状態で密閉されていますので心配いりません。)

手入れ

手入れ道具

●目釘抜(めくぎぬき)

中心を開ける際に、柄に差し込まれている目釘を抜くために使われます。真鍮や鉄・竹など素材や形状は色々です。

●打粉(うちこ)

砥石の粉を布に包んだもので、刀身に塗られていた古い油を吸着して取り除くために使われます。
他には刀を鑑賞するときに、油の膜や曇りを打粉で取り去り、刀身を明瞭な状態にする目的でも使用されます。ただし、打粉は砥石の粉ですから使用すれば刀身が磨耗するので使わない方が良いという声もあり、むやみに乱用することは避けましょう。時代劇などを観てよく誤解されがちですが、決して刀身を磨くためのものではありません。

●拭(ぬぐ)い紙

和紙(奉書)を揉んで柔らかくしたもので、刀身に塗られた油を取ったり打粉を拭うために使われます。最近では油はティッシュペーパー(染料や化学物質が無添加のもの)や、打粉を拭うのにネル(よく洗い乾燥させて使用)を使うことが多いようです。

●油

刀を保管する際、錆を防ぐために塗る油。一般的に使われているのは丁子油ですが、植物由来なので古くなれば酸化するということを念頭においてください。

●油塗紙

油を塗るときに使用する奉書や布片で、うっすらと油を滲ませたものを使用すると良いでしょう。

●当て木

中心が柄から抜けないときに使用するのが当て木(柄外し)です。柄の小口にあてがい、木槌等で優しく叩いて使用します。強く叩いたりすると柄の小口を痛めることもあるので、十分に注意してください。

手入れ方法

[1]鞘から刀身を抜いて、目釘を取り柄から中心を外します。鎺も外します。

[2]刀身に塗られている古い油をティッシュ等で下拭いし、打粉を刀身の表裏にトントンと同間隔に当てていきます。

[3]ネル等で刀身を棟側から挟み込むようにして、鎺元から切先方向へ上下にスライドさせながら打粉を拭い取ります。
※彫物(彫刻や樋)がある場合は、溝の両端部分に注意してください。例えば棒樋の場合、樋の端から内側(彫られている方)へ向かって拭います。外側へ向かって拭くと、ヒケの原因になります。

[4]油を滲ませた布を刀身を棟側から挟み込むようにして、刀身の表裏全体に薄くムラなく油を塗ります。べったりと塗ることは避けましょう。余分な油が鞘に浸透し鞘割れの原因になったり、酸化して油染みとなり跡が残ることもあります。

[5]手入れが終わったら、柄を装着し目釘を差し込み、刀身を鞘に納めます。

●やってはいけないこと

錆がついている中心を磨いたり研磨することは絶対にしてはいけません。長年にわたって付いた貴重な錆を台無しにしてしまうばかりか、刀の価値も大きく損なわれます。また、油を塗ることも同様の理由でやってはいけません。油を塗ると白鞘の柄の合わせ目に油が浸み込み、破損の原因にもなります。

保管

保管方法

●白鞘に納めて保管する

保管に適した白鞘に納めた状態で愛蔵することをお奨めします。拵は表舞台での装いであり、鐔も装着されて形状的にも保管には不向きです。白鞘は「休め鞘」といって昔から保管するために誂えられたものです。

●保管場所

なるべく湿気のない場所、そして直射日光を避けて温度差のあまりない場所に保管するようにしてください。

●手入れの時期

通常は数ヶ月に一度ぐらいの間隔で手入れを施すのが理想です。きちんと手入れをしていれば、そうそう錆びることはありませんが、長くても半年に一度は手入れを行なってください。もし、錆が出てしまったら、研師や鞘師・刀剣商といった専門家に相談してください。決して自分で安易に錆取りを試みないことです。錆が出た原因を突き止めないと解決にはならず、却って悪化させたり余計な費用も発生してしまいます。

刀の運搬

日本刀は美術品ですから、ルールを厳守すれば家の外に持ち運ぶ事が出来ます。

▶登録証(銃砲刀剣類登録証)を必ず附帯すること。

▶白鞘または拵(こしらえ)に装着された状態で、刀袋に入れます。それを専用の運搬ケースまたは運搬袋(革や布)に入れて持ち運びが可能となります。これで裸の刀身を三重に包んだことになります。

※その際、肩に担いだりして日本刀を縦にして運ぶ時は、必ず中心を下に、切先を上になるように運搬袋に収めます。切先を下にすると、目釘が折れるなどした時、刃先が底を突き破って落下する危険があるので、それを避けるための処置です。