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竹生島図(無銘・古金工)

商品番号:TB-011

鐔 室町後期 保存刀装具 桐箱入

60,000円

竪丸形 山銅地 鋤出高彫 金色絵 共金覆輪耳 片櫃孔

縦:6.67cm 横:5.96cm

切羽台厚さ:約0.34cm 耳際厚さ:約0.46cm 紋部厚さ(最大):約0.64cm 重さ:89.13g

本鐔はある問題を突きつけてきます。古美術品にとって最重要な時代極という問題を、自らの痕跡を通して問いかけてきます。嬉しくも難儀な本鐔を探ってみましょう。

画題は波地に兎で竹生島。まるで栗鼠のような、らしからぬ姿の兎です。愛嬌?可愛らしさ?そんな印象は微塵もありません、どちらかといえばキモカワイイ兎です。この兎、鋤出高彫と鑑定書にはありますが、おそらく鑞付据紋です。隙間も見えないのに、なぜそう言えるかって?・・・それはこれと同じ作例をすでに7例も経眼しているからです。長さや厚みといった法量もほぼ同じ。その7例の内、5例は姿・形状が違えど本作と同じ箇所に兎の紋があって、そのいずれもが据紋でした(3例は上からのリベット留)。

それは良しとして、本題はここから・・・問題の核心はリベットです。過去に経眼した紋のリベットではなく、本体に施された三ヶ所のリベット痕です。本鐔は同じ類例も含めて全て三枚合の鐔。三枚合の鐔は通常、リベット留ではなく鑞付による造です。他にリベット留の鐔が全くないわけではなく、私は3例ほど経眼しており、どれもが漆黒の赤銅地にウットリ色絵が施された上手作でした。つまり室町後期以前の上等な古鐔です。本作は山銅地で色絵も鍍金です。だから若いというのではなく本作も室町後期は下がらない古い作だと推測しています。では何故難儀かというと、リベット留の三枚合鐔は、室町後期に作られた鑞付による三枚合鐔と果たしてどっちが古いのかという点なのです。

当時、既に鑞付による技法があったのに、何故、手間がかかって見た目にも悪いリベット留をするのかその理由がわかりません。これが在る一工房の作であれば、そういう作りをする集団だと片づけられますが、作域の全く異なるリベット留の三枚合鐔が厳然と存在しているわけで、やはり室町期に一時期採られていた技法の一つであり、鑞付による技法とは時代を異にするのではないかと、私そして一緒に研究している鑑定家は推測しています。ではどっちが古いのか・・・おのずとリベット留の方が古いとするのが自然ですが、そうなると本鐔は室町中期まで上がる作と考えても不思議ではありません。そんなに古いのかと嬉しくもある反面、この鐔が室町中期なんてあり得るのか?という疑問とジレンマに苛まれるのです。もちろん、同じ室町後期だけど少しリベット留の方が古く、間を待たず鑞付に移行したとも考えられます。

さて皆さん、どう思われます。こればかりは屈託のないみなさんのご意見を聞いてみたいと思います。このサイトでも同じ作例を何度か目にしており、今後も新たな類例作が出てくると思われます。しかしこの問題を解決するには、より多くの作例を精査し検証するしかないのかもしれません。みなさんがもし新たな作例を手にしたなら、私を縛り付けている悩みを思い出していただけたら幸いです。本作を入手して同じドツボにハマるのも良しです。中々のジレンマですよ、リベット痕の呪いは・・・