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龍虎図 竜𠀋子 英随

商品番号:TB-022

鐔 江戸後期 保存刀装具 桐箱付

80,000円

撫角形 鉄槌目地 高彫 象嵌金色絵 両櫃孔(真鍮内覆輪・赤銅埋) 真鍮縄目覆輪

縦:8.57cm 横:8.00cm

切羽台厚さ:約0.32cm 耳際厚さ:約0.60cm 重さ:154.28g

岩に流水と波濤、そして渦巻く雲。それを背景に龍と獅虎を対峙させた構図を描いています。彫口の調子からは、龍と虎が主役というよりこの場面・空間そのものを見せたかったようです。奥深い渓谷でのワンシーンを演出した作行は抑揚かつ
立体的で躍動感があり、これから始まる戦いを連想させるかのようです(効果音つきナレーションが欲しいところ・・・冗談です)。

高低差のある高彫は耳際を除き意外になだらかです。ボッコリとした裏側は逆にヘコんだ変化地の造込で、裏打出を両面に応用して構図の配置を工夫しています。もう絵画のような、いえ、レリーフを鐔にした印象・・・上手いもんですね。金の色絵は目玉以外、ぽちぽちっと所々に施しただけ・・・夜か闇中の場面を意識しているのかもしれません。逆に激しく飾りたてのは覆輪と小柄・笄櫃孔の内覆輪。覆輪は太めの縄目、まるで虎の縞模様のようです(意識したのでしょうか?)。内覆輪は仏閣の飾り窓のような小洒落たデザイン。こうしてみると鐔の画角全体が、寺院の間取りに描かれた空間をそのまま切り取ったかのような印象を受けます。この覆輪はどちらも生の造込ですが、赤銅の埋だけは後補の所作でしょう。

作者は英随。竜𠀋子という号は金工事典には見当たらず、おそらく随という一文字を使っていることから奈良派の流れを汲む浜野派の門人と考えられます。しかし銘振は確かに浜野派の工人たちに似ていますが、浜野派とは言い切れません。何しろ制作時代は江戸後期、流派入り乱れて交流が盛んだった時期です。こうなると作域で絞り込んでいくのでしょうが、鐔、特に町彫にめっぽう弱い私にはお手上げです。因みに英随の銘は金工事典に五人載っています。水戸の平野氏、浜野派芳野氏、薩摩の新井氏、大森派の英随、暁庵英随・・・いずれも江戸後期・幕末の工人です。果たしてこの五人の中に居るのか、それとも名もなき門人の一人か・・・一応、号を刻っていますから、門人だとしても独立してからの作と考えられます。