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風景に人物図 山城国藤原 金定

商品番号:TB-026

鐔 江戸前期 保存刀装具 桐箱入

65,000円

竪丸形 鉄槌目地 鋤出高彫 金象嵌色絵 打返耳 両櫃孔孔

縦:7.32cm 横:6.78cm

切羽台厚さ:約0.3cm 耳際厚さ:約0.34cm 紋部厚さ(最大):約0.44cm 重さ:82.49g

色んな評価のある本鐔の作者・金定。味があってトボけた作風が良いという評もあれば、一方で下手くそで芸術性の微塵も感じられないと酷評されるケースもあります。取引される価格も数万円から数十万円までバラバラ・・・どの評価が真の金定を指しているのか始末に追えません。これもみな、鐔工の巨匠・金家に絡めて評されるからかもしれません。金家の一門とする見方もあれば、それに乗じて作風が似ているとか、また、その真逆の解説もあって、弄られたり持ち上げられたりと当の本人も戸惑っているのが目に浮かぶようです。要は金定の詳細が何も判っていないということではないでしょうか。時代だって金家より早く桃山期まで上がるなんて声もあるし、本当かよ!と疑心暗鬼を加速させるような捉え方も流れています。こうなると、私の考えも数ある視点の一つとしてみていただく他ありません。本鐔に関して総体の評価は無責任ながら皆さんへ押し付けます。

本鐔のデザインというか絵柄は、確かに金家に似ています。表側には旅の途中の一服なのか佇む人物、左下の岩の上には脱いだ笠、上部には日陰を作る木立と葉。裏には小藪、そして上部に頂が二つある遠山・・・よくある風景画です。彫口は上手いのか下手なのか、アート感覚に鈍い私の出る幕はなさそうです。特に佇む旅人らしき人物の顔など、これでいいのかと思えるくらい簡素なフォルム・・・確かにトボけた作行、いや、究極まで簡略化したフォルム。これが行き過ぎたら前衛アートの抽象画になってしまいます(要らぬ心配ですか)。・・・もう、“何という古風な作域”で逃げたくなります。ただ、比較される金家の人物の顔はちゃんと表情が認識でき、適当に見えて意図的な造込を感じます。それに対して金定が彫った人物の顔ときたら、ご覧の通りです。ま、比較すべき作行ではないとは思いますが・・・。

ところで造ですが、本鐔は鉄槌目地に鋤出高彫。高彫と言ってもおそらく据紋です。金定に限らず金家もほぼ全てが据紋です。この据紋が曲者で、両者が桃山期の鐔工だとして果たして鑞付据紋の手法を既に取り入れていたのか・・・甚だ疑問です。後藤家でさえ、桃山期の笄は無垢の高肉彫です。それも赤銅であって、鉄が非常に貴重であった時代に当時の一鐔工に過ぎない金家やこの金定が、技術も材料も最先端を行っていて、さらに銘まで刻っていたとは・・・これが江戸前期の話なら肯定できます。色絵も象嵌の焼付色絵であり、桃山期までのウットリ・袋着の飾色法とは異なります。こうして色々みていくと時代との整合性はかなりいい加減です。過去の偉い大先生が見た目のイメージだけで評した解説を、何の疑いもなく流用してきたツケと言っても良いくらいです。・・・あ、かなり辛辣なことを口走ってしまった私ですが、その私の根拠も希薄で脆弱なのは承知しております。同じ穴の狢と言われても反論はできません(何なりとご叱咤を・・・)。

ここまで書いちゃいと、もう価格評価はあってないようなもの。ただ、江戸前期という鉄鐔にしては古い作例で銘も刻られており、そこは評価しても良いと思い、鑑定書がついた平均的な設定にした次第です。高け〜じゃねえかと言わんでください。唯一、価格を決められるのが私の特権なので・・・。