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揚羽蝶図 城州西陣住 埋忠重義

商品番号:TB-101

鐔 江戸中期 保存刀装具 桐箱付

80,000円

竪丸形 鉄地 肉合彫 金銀布目象嵌 丸耳 両櫃孔

縦:8.00cm 横:7.82cm

切羽台厚さ:約0.62cm 耳際厚さ:約0.54cm 重さ:198.00g

やや赤味がかった錆色、いい塩梅です。鉄味は槌目地風の肌合いをしているせいか柔そうな感じもしますが、よく鍛えられ平地は均一、上手ですね。耳際近くが切羽台よりほんの僅かに薄く碁石形とまではいえませんが、その分外周のエッジがなだらかに映り、優しい印象を作り出しています。しかし手にすると、その柔らかみとは対照的にズシッとした手応え・・・重いです。約200グラム弱もありますから鐔としては重量級です。切羽台あたりの肉厚が6ミリを超える肉取で透は無し、空いているのは中心・小柄・笄の櫃孔だけですから重いのは当然です。

その豊かな体配に肉合彫で揚羽蝶を彫上げています。切羽台を中心として手書き風の揚羽を大きく大胆に彫り、胴や脚、触覚は毛彫や象嵌で簡素な表現・・・写実的ではなく味のあるスケッチ風に描いており、絵心があるというか絵師が墨でササッと描いたかの印象です。表面と裏面に一匹ずつ描いた構図は似ていますが一匹の蝶を表裏から見た構図ではないようです。翅の動きや大きさも少し違います(本人は同じ蝶のつもりで彫り上げたんかもしれません)。おやっと思うのはその向きで、表面は左を向いています。この向きだと装着した際に見る側にとって一番目立つ部分に後部の翅がくることになり、向きも後ろ向きです。華やかな前の翅と顔をメインの位置に描かなかったのは何故でしょうか。・・・しかし、鐔に関してこの構図は一般的な傾向のようで、反時計回りの構図が圧倒的に多いのも事実です。ある意味、普遍的な掟なのか不文律なのか・・・小柄や笄・目貫には見え方としての向きが緩いながらも形式としてありますが、鐔も同様と考慮しても本鐔のような画題とレイアウトになった場合、いささか違和感を覚えます。まあ、あまり突っ込まずに、そういう作例もあるということで気にしないようにしましょう。

作者は埋忠重義(七左衛門)、時代は江戸中期。城州西陣住とありますから名高き埋忠一門の一人です。京都ですからねー・・・優雅で繊細な京透がもてはやされる中、その真逆の分厚くてごっつい板鐔の本作・・・周りに流されず埋忠の作風を踏襲した作域はさすがで、埋忠一門に敬意を評します。持ち上げるわけではありませんが、この揚羽蝶の手書き風タッチ、埋忠の筆頭・明寿の作風に似ていません?・・・むふふ・・・私の短絡的な思い込みに惑わされないようご注意を。