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帆船図 八道友之作

商品番号:TB-115

鐔 江戸後期 保存刀装具 桐箱入

170,000円

竪丸形 鉄磨地 鋤出彫 角耳小肉 両櫃孔

縦:7.74cm 横:7.42cm

切羽台厚さ:約0.42cm 耳際厚さ:約0.45cm 重さ:122.44g

南蛮船を精巧に彫り上げた本作の作行。船体の細かな形状を緻密で繊細に表現されています。波に揺れながら荷揚げ作業なのか和船と三人の荷役も細かに描かれ、アバウトな所作は見受けられません。裏面は積み下ろしの光景とは真逆の雰囲気。波間に漂う小さな和船(漁船?)を手前に、中央上に断崖に生える数本の松(家屋ではないですよね?)。なんとも風光明媚な入江の光景・・・どちらの面も空間を巧みに取り入れて動きを出しているようです。何というか、水墨画風だけど写実的であり、耳の縁取りも南蛮風・・・古風さは何処へやら、しかしどこかエキゾチックな雰囲気は独特の表現に思えます。

造から言えば、精鍛な鉄質の磨地。長州鐔は精鍛な鉄質のものが多いのですが、これも江戸後期に入ってから武州伊藤派との交流なのでしょうか(文献にはこのような解説が多い)。しかし伊藤派にはない緻密さと丁寧さが感じられる一枚です。色合いはやや黒みがかってしっとりとした艶があり、錆状態はかなり良い状態で疵や朽込はほぼありません。そして上質の長州鐔特有の微妙な肉置を感じることができるのは本鐔の見所かも。この感覚は言葉では表現しにくく実際に触れてみないと伝わらないので、ここでは割愛します(逃げた、卑怯だと罵ってください・・・言葉に自信がないので)。

作者は長州は八道(やじ)家の友之。長州住友之(中井氏)ではありません。八道の友之は「友」の字の右肩に「’」を刻むことで区別できます。まあ、多数の長州の有名系列の中にあって、中井家はどうだ八道家はこうだとは不毛な評価。名声ではなくその一枚の価値を見極めるのが大切かと(何を偉そうに言っているんだか、私は)。

ところでこの一枚に描かれたデザインと構図、友之はいくつかのバージョンを作っているようです。外形も、本作の竪丸形をはじめ、木瓜形、大学形などもあるようです。絵柄そのものも南蛮船の形状や背景を工夫して違ったイメージを作り出しています。それにしても、彼が受けた南蛮船への印象はかなり強烈だったのか、いろんなパターンで試みた思いが一連の南蛮船シリーズとなったのかもしれません。その印象とは・・・日本にはない先進性? スケール? 海外への憧れ?