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鉈豆図(無銘)

商品番号:KZ-003

小柄 桃山期 桐箱入

40,000円

赤銅七子地 高彫 (金袋着) 裏哺金

長さ:9.65cm 幅:1.43cm 高さ(紋部最大):0.62cm 重さ:28.92g

各視点から考察してかなり希少かもしれない小柄のご紹介です。造は二枚貼合構造の地板嵌込方式。本体を哺金で覆っていることを考慮しても少し重め。紋は高肉彫なのか鑞付据紋なのかははっきりせず、飾色は見た目では無赤銅。ここまでであれば制作時代は江戸前期以降と決めてかかるのですが、ルーペで紋を精査していると、何やら怪しい光が・・・金・・・それもこの擦れ方というより剥がれ方・・・袋着ではないですか。これはもしかして笄直の小柄か? しかし、紋際の七子地を見ても笄だった形跡はなし。袖小柄でもないし、唯一の期待が紋が高肉彫なのか鑞付据紋なのかが不明なこと。う〜ん、困ったです。どちらかといえば本体は江戸前期以降の造、ただ、金の袋着という事実が引っかかります。造は江戸前期以降、飾色は桃山期・・・桃山期以前の生の小柄は極めて少なく、ほとんどの作は笄直の小柄です。

・・・もう一度、七子を確認。おや? 七子が蒔かれた地板の面がおかしい。緩やかな弧を描くはずの面(幅の面)に所々角ばった平面状が見られます。これは地板を削り取ったような所作。七子粒の整列状態をみると、紋際の粒とそれ以外の粒の形状が違っているではないですか! 両袖側の広い面の七子粒は少し斜めから打ったような手癖のある形状をしています。・・・これは笄だった頃の七子粒を削って、蒔き直した可能性が極めて高いと推測できます。 何のことはありません、本小柄は笄直だったのです。これで袋着の所作も納得です。

その上で紋を改めてみてみます。紋の彫口は緻密で繊細、極めて上手の彫をしています。銀の露象嵌も施されています。その紋を中央に無理なく配しているあたり・・・ちょっと強気に古後藤とみたいところです。誇張ではないのですが、これと似た鉈豆図の小柄に宗乗作や古後藤の作例を何度か目にしています。おそらくこの小柄はそれらよりし時代が下がった写とみています。

状態は本体裏側の小口あたりの哺金が少し擦れています。表の小縁や角にも擦れた箇所がありますが、これらは皆、実用に供された時代相応の擦れです。七子地は擦れのせいもありますが一度蒔き直したために浅目の粒状態です。金の袋着は紋の豆部分の裾側を取り囲むようにちょぼちょぼと残されているだけです。これがせめて半分も残っていたなら・・・あ、タラレバはやめにしましょう。本作のように希少な作例が残っていること自体に感謝です。