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火縄銃道具尽図(無銘・古金工)

商品番号:KZ-010

小柄 保存刀装具 桃山期 桐箱入

60,000円

赤銅(山銅)七子地 高彫(鑞付据紋) 金鍍金

長さ:9.80cm 幅:1.57cm 高さ(紋部最大):0.69cm 重さ:30.46g

こんな小柄に出会ったのは初めて・・・色んなところの辻褄が合わなくて、困惑だらけの本作・・・そんじゃー、“はてな”の所作を見ていきますか。

もう気づかれたでしょうか? 小口側を左にした(刃方は上)小柄の正しい(?)向きで見ると、あらら、図柄が逆さまになってしまいます。ん〜これはもしかして笄直かな? 笄直なら正しい向き。しかしそれなら作り直した際に逆さまに置くかな? 銃口側を右向きにすれば逆さまにはならないし、それに加え笄直の痕跡が見つけられないのです。え〜〜〜??? 参ったな・・・逆さまの向きを良しとして使う侍は果たしていたのでしょうか(いつの時代も風変わりな数寄者はいるものですが・・・)。

私なりに乏しい想像力を巡らしてこの可能性を考えてみると・・・(1)単純に地板(額内)を逆に据えてしまった。 (2)あるいは紋だけを逆に据えてしまった(本作は鑞付据紋です。地板と紋の色合いも微妙に異なります。)。この二つは単なるミスの所作。他に考えられる可能性としては、(3)本作は小柄櫃孔用ではなく笄櫃孔に装着するための小柄だった。以前、大名家伝来の所載本で小柄を両櫃孔に装着した拵を一例だけ目にしています。これは特殊な例であり、その拵も二本の小柄もかなりの上手作。本小柄がそれに該当するかは甚だ疑問ですが・・・。(4)笄用に作った紋(地板も含む)をそのまま小柄用に転用してしまった。しかしこれも逆さまにする必要はなく単純なミスの部類。(5)本作は所持者の指示により意図的に逆さまに作った・・・(1)〜(5)のどれもがありそうでなさそうで、もはや勝手に妄想してくれ状態です。皆さんもこの難題に参加してくれると嬉しいかなと思っております。

忘れてはいけない造込ですが、本作は地金の厚みを考えると俄には信じられませんが、どうやら片手巻のようです。この所作を考慮すれば地板を逆に据えた可能性はほぼ無くなり、折り曲げて片手巻にした時点で失敗していることになります(どのみちミスですが)。そして幅が一般的な小柄より約2ミリほど広く作られています。大小柄というほどでもありませんが、図柄も含め大柄です。飾色は金鍍金。極は鑑定書の通り古金工に極めるしかない造込で、制作時代は桃山期が妥当だとみています。状態ですが、表は小口あたり以外さほどの擦れはなく色絵も火縄銃本体以外はかなり残っている方です。裏面は所々打疵なのか凹や疵がみられます。ボッコリと凹んだ箇所はありませんが、多少の凹凸がありますのでご留意を。

この絵柄の逆さまになった小柄、珍しいのか面白いのか見れば見るほどわからなくなってきます。良い言い方をすれば、謎の尽きない小柄。悪く言えば、とるに足らない変竹林な小柄。興味の持ち方によって評価は様々でしょう。しかし一つだけ自慢できることがあります。赤銅の小柄がほとんどを占める桃山以前の小柄の中にあって、山銅の小柄である本作はとても希少な作には違いありません。その意味では希少な一品です。因みに鑑定書では地金を赤銅地としていますが、本作は明らかに山銅地です。こんなに茶褐色の色合いなのに赤銅地とは・・・いいのかなぁ? 単なる表記ミスだと思うけど、まさか山銅と赤銅の区別をやめたとか?