HOME
menuki symbol

万年青図(無銘)

商品番号:MK-006

目貫 桃山期 桐箱入

50,000円

赤銅地 容彫 金袋着

表目貫/長さ:3.63cm 幅:1.50cm 高さ:0.63cm 重さ:4.67g

裏目貫/長さ:3.62cm 幅:1.46cm 高さ:0.60cm 重さ:4.26g

ありふれた画題である万年青図の目貫ですが、本作は幅に対して長さがやや詰まった形状をしており、ちょっと風変わりな姿に見えます。しかしよく見ると、ちゃ〜んとラグビーボール状のフォルムに整えていて桃山期以前の古い目貫の形状としてはほぼ完璧です。加えて腰も高くこのサイズで6ミリを超える高さ・・・当然ククリも採られており理想的な形状を成しています(かなり褒め過ぎかも)。江戸中期以降の平ったいペコちゃん目貫とは造からして違います(言い過ぎですね・・・反省)。ということで本目貫は桃山期の古金工作ということで話を進めます。

地金の色合いは漆黒の黒さです。申し分ありません。その赤銅地の実の部分にだけ金の袋着を施しています。この袋着、溝らしき線が確認できません。多分、漆か鑞で裾を留めていると思われます。なので制作時代は桃山期と言っても江戸期に入る手前か端境期でしょう。それでも金板の破れもなくこの上もなく状態を保っています。まあ、破れたら破れたで雅味が出るというものです。彫の作行はうねうねと湾曲する葉の筋を細かく掘り上げているのですが、流れるような彫口ではなく躊躇いがちに少しずつ彫り進んだような、ちょっとぎこちなさを感じるのです。上手いのか下手なのかどうにも判断しにくいのですが、見え方の結果としては葉のリアリティが感じられ、これで良かったのかもしれません。まあ、偶然または必然なのか、あるいは意図的なのかは知り得ないところです。この作域と作風からは後藤家には極められず、古金工とするのが正解だと思います(ただ彫口は山高く谷低くですから、審査に出せば場合によっては・・・フッフッフ)。

地板は厚くもなく薄くもなく造込ですが、圧出の打込はかなり強く、特に葉の筋に合わせて窄まるところなどを絞り込んだ箇所は見応えがあり、裏行はこうでなくちゃと言わんばかりの見事な所作を見せています。表目貫だけについている足は、色合いと形状からして後補の可能性が高いのですが、支金は生の感じがします。もしかするとめくり上がった支金らしき残片は、生足が残存している状態かもしれず、そこに後から足をくっつけた可能性も考えられます。

このように、一見何気ない万年青図の目貫に見えますが、古い作は表面も裏行も詳細に観察すれば妄想を掻き立てる所作が盛り沢山。画題のデザイン等イメージも大切ですが造込に翻弄される楽しみもあるのです。