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fuchigashira symbol

濃紺組糸巻短刀柄前

商品番号:TK-004

柄前 明治期以降

15,000円

縁頭/螭龍図(無銘) 鉄地 銀象嵌色絵 目貫/蝙蝠図(無銘) 山銅地 容彫 金色絵

長さ:9.15cm 高さ(縁):3.85cm 幅(縁):2.13cm 重さ:53.57g

長さがわずか9センチ強しかない短刀用の柄前。大きな掌の方であればスッポリと手中に収まってしまう大きさです。御守刀用でしょうか。でも柄糸が巻いてある御守刀の拵はほとんど見たことがりません。やはり家中で腰に指した短刀かと想像しても、その推測自体が無駄であることがわかります。この柄前は明治時期以降に誂えられた若いものです。柄下地そのものが若くその小口の状態からは昭和に入ってから作られた可能性もあります。つまり実用を前提とした作ではなく、愛好するための柄前であることが分かります。

しかし柄前自体が作られたのは若くとも、使われている金具類はもちろん江戸期のものです。まあ、他の柄前や拵を見ても、多くがこういう経緯の柄前だらけですから敢えて若いですと自己申告する必要はないのかもしれませんが、“江戸期の生の柄前”と誤解されるのは不本意であり、私にとっては隠して紹介する理由も必要もありません。

縁頭はパッと見て無紋に見えますが、鉄地に螭龍図を銀の象嵌色絵を施しています。かなり薄くなってちょっと見づらいかもしれませんが、光が当たると浮き出て確認できます。良く言えば渋い、という持ち上げ方もあります。変わった所作では縁の合わせ目・・・普通は棟方で切断面をピタッと合わせて内側を支金で補強するのですが、本作は斜めの切断面を合わせただけで支金も施されていません。まあ、確かに合わせの面積は広くなるとはいえ、強度的に大丈夫なのかといらぬ心配をしてしまいます。表から見ると、その合わせ目が下手くそなのか欠けのような凹んだ所作が見られ、鑞付の痕跡も確認きます。因みにこの縁は、装着すると少しゆるいのか柄木の装着部分に和紙が巻いてあります。

目貫の地金は赤銅にも見えますがおそらく山銅でしょう。画題は蝙蝠で金色絵を施しています。この柄前のサイズに合わせて用意したのか、かなり小さいです。たぶん、出目貫用でしょう。それを敢えて濃紺の組糸で巻いています。一般的には柄糸を巻かず鮫皮に出目貫という形態が多いとは思いますが、本作の注文主がこの姿にしたかったのでしょう。総体に見た目の印象は悪くありません。小さいながらも立鼓が結構湾曲してる姿が魅力的だと思いませんか。